小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

看護師の不思議な体験談 其の七

INDEX|4ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 


 その2、3日後、Oさんが飛び降りたであろう時間に、突然『火災警報』が病棟中に流れ始めた。
『1階正面玄関にて、火災発生、火災発生』
『患者様は、スタッフの誘導にしたがって避難して下さい』
 けたたましいサイレン音とともに、自動アナウンスが流れる。非常階段の辺りは真っ赤なランプが点滅している。
 動揺した高齢患者様たちが部屋から飛び出してきた。
 私は後輩二人に患者様の対応を指示した後、夜間受付へ確認の電話をした。何回もコール音が鳴るばかりで、一向に電話に出る気配がない。
(もう!)
 そう思いながら受話器を投げ置いた。本当の火災ならば大変な事態なので、私は階段を駆け下りた。1階へ駆け下りた時には、いつの間にかサイレン音は止んでいた。
 真っ暗闇。非常階段の緑色のマークだけが、ロビーを照らしている。
 火災が起きていないことを確認し、一安心。
 夜間受付に声をかけると、警備員のおじさんが普通に座っている。
「なんで電話に出てくれないんですか!」
 階段を駆け下りて、無駄な体力を使ったことにもイライラし、問い詰めた。
「は?電話なんてかかってませんけど。」
 呆然とした。
 じゃあ、私はどこに電話をかけていたのか。確かにかけたのに。