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看護師の不思議な体験談 其の六

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 Kさんはいつも浅い眠りしかできないでいた。もうすぐ人生を終えようとする患者様に対し、何て声をかけるべきなのだろうか、そんなことをずっと考えていた。
 まだ元気だった入院時の患者様の笑顔を思い出していた。
「わしは入院なんかせんでもいいのに、バーさんがうるさいけー、入院してやった」
 ガハハと大きな声で、豪快に笑っていた。
癌が進行し、徐々に痛みも強くなる頃、ナースコールも押さずに必死に痛みに堪える患者様。
「最近の若いもんは、我慢が足りん!こんなの痛くもなんともねえ!」
「○○さんのは、やせ我慢っていうんです!痛い時はちゃんと教えて下さい!」
「なんだとうー!」
 そんなけんか腰のやり取りも、思い起こせばいい思い出。
 夢の中での患者様は、とてもおだやかに笑っている。一緒に思い出にひたってくれているのだろうか。
 そして手を伸ばす患者様。細く弱々しい手のひらをギュッと握り、強く握手をした。
 その感触がやけにリアルで、ハッと目が覚めたKさん。