とざされた海
薄茶の髪をゆらゆらさせて、
彼は海底を歩いているようだった
たまにイソギンチャク
――いわべにこびりついたぐだぐだな生き物――にほほえんで挨拶して、
ぷうわぷわと飛ぶ魚の影を楽しげに見つめている。
そしてサイクンの隣にきて、あぐらをかいて
たばこのような、葉巻のようなものをとりだして
どうやってか、器用に火をつけて
ぷあああ、っと、煙入りのあぶくをふいた。
「また、おちてきちゃったのか、おまえ」
サイクンを見上げてほほ笑む顔には見覚えがあった。
「ミジマじゃないか、どうしてミジマ、ここはどこなんだ?」
そうサイクンが言ったら、よほどミジマは驚いたのか
目をまあるくして煙入りの細かいあぶくをたくさんふいて、
ごろん、と後ろに転がった。
「……なんだ、おまえ、話せるのか?」
「ミジマ? なんだじゃないよ、これは夢か?
どうしてここに、僕らはいるんだ?」
こちらに胡坐のうらを向けていたミジマが
またびよんと転がり起きて、サイクンをまじまじと見る
「ふうん、話せるのか」
あぶくがまたぶああああ、っと上にあがっていった