小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

とざされた海

INDEX|3ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 


薄茶の髪をゆらゆらさせて、
彼は海底を歩いているようだった
たまにイソギンチャク
――いわべにこびりついたぐだぐだな生き物――にほほえんで挨拶して、
ぷうわぷわと飛ぶ魚の影を楽しげに見つめている。

そしてサイクンの隣にきて、あぐらをかいて
たばこのような、葉巻のようなものをとりだして
どうやってか、器用に火をつけて
ぷあああ、っと、煙入りのあぶくをふいた。

「また、おちてきちゃったのか、おまえ」
サイクンを見上げてほほ笑む顔には見覚えがあった。
「ミジマじゃないか、どうしてミジマ、ここはどこなんだ?」
そうサイクンが言ったら、よほどミジマは驚いたのか
目をまあるくして煙入りの細かいあぶくをたくさんふいて、
ごろん、と後ろに転がった。

「……なんだ、おまえ、話せるのか?」
「ミジマ? なんだじゃないよ、これは夢か?
 どうしてここに、僕らはいるんだ?」

こちらに胡坐のうらを向けていたミジマが
またびよんと転がり起きて、サイクンをまじまじと見る
「ふうん、話せるのか」
あぶくがまたぶああああ、っと上にあがっていった

作品名:とざされた海 作家名:夜鷹佳世子