闇を抱える少年
Part5
鳥達が鳴き朝がくる。
アルスの部屋に朝日が差し込みアルスは目を覚ます。
アルス「もう朝か。」
アルスはまだ少し眠そうだが、ベッドから降りた。
アルス「昨日は大変だったな。」
アルスはそんなことを思い部屋の片隅を見る。
そこには、黒猫と白い鳥が仲良く眠っていた。
アルス「二人とも起きなよ。」
レイス「む、主よ、もう朝か。」
アテナ「ふぁ~」
この二匹は先日アルスが契約した使い魔だ。
アルス「今から朝ご飯作るから。」
アルスはそう言い部屋をでた。
アルスが出て行った事で二人きりになったレイス達が喋る。
レイス「主はまだ幼いのに、あの様な重荷を背負ってるとは。」
アテナ「本当よね、あのマリって子もアルスにはこんな重荷は背負って欲しくないでしょうに。」
レイス「主はマリ殿が死んだのは自分のせいだと思っておるからな。」
そんな話をしていると。
アルス「二人とも、ご飯ができたよ。」
その声を聞き二人はアルスの元へ向かった。
アルスは今、学校に着き教室に向かっている。
今日は使い魔との交友を深める為に皆使い魔を連れて来ている。
アルスはいつものローブにフードをかぶり左右の肩にレイスとアテナを乗せている。
アルスが廊下を歩いていると前方から少女が話しかけて来た。
カリナ「アルス、おはよう。」
アルス「おはよう。」
アルスはトーンを落として話す。
カリナ「一つ聞いていい?」
アルス「何?」
カリナ「何でそんなに暗いの?
昔は凄く明るかったのに。」
アルス「昔とは違うんだよ。」
カリナ「そう。」
それから、アルスとカリナは教室まで何も喋らなかった。
教室に着くとカイトが話しかけてきた。
カイト「知ってるか?今日、新しい先生がくるそうだぞ。」
アルス「....先生?」
カイト「そうだ、しかも女の先生だそうだ。」
カイトと話していたら、ブランクが来た。
ブランク「席につけ、お前ら。」
ブランクの一言で皆席に着いた。
ブランク「今日は遅れて来た先生を紹介する。」
ブランクがそう言った時、教室のドアが開く。
そこには、アルス達と同じ位の少女がいた。
アルスは少女を見た時驚愕とした。
ブランク「彼女がこのクラスの副担任のセレーナ=フレンダーだ。」
セレーナ「ちょっと遅くなりましたけど、このクラスの副担任になったセレーナです。
教科は戦闘魔法学です。
よろしくね。」
セレーナが言った後に生徒が質問する。
生徒A「セレーナ先生は何歳ですか?」
セレーナ「私は君たちの1個上よ。飛び級で卒業して教師になったの。」
セレーナがそう言った。
ブランク「今日も特に授業もないし、下校時刻まで使い魔と親睦を深めたり、セレーナに質問とかしてろ。」
ブランクはそう言い教室から出て行った。
カリナ「アルス、使い魔達と遊びましょ。」
アルス「ああ。」
アルスは目立たないようにしていた。
カイトはセレーナを必死に口説いていた。
セレーナはカイトの話を無視してこっちに歩いて来た。
セレーナ「こんにちは、一つ聞くけど、どうして君はフードを被ってるの?」
アルスは何も答えなかった。
カリナ「彼は人見知りで滅多に顔を見せないんです。
頼んだら見せてくれるだろうけど。」
セレーナ「そうなの、ところであなたは?」
カリナ「私はカリナといいます。」
セレーナ「そう、よろしくね。」
セレーナはそう言うとアルスを見た。
セレーナ「それじゃあ、顔を見せて。」
アルスは何も言わずにセレーナを無視していた。
セレーナ「それじゃあ、無理やりひん剥いちゃえ。」
セレーナがアルスのフードに手を伸ばそうとした時。
レイス「我が主に触れるな。」
レイスがドスのきいた低い声で喋る。
レイス「貴様の様な下衆が我が主に触れようとするなら、我が貴様を殺す。」
レイスは殺気を飛ばしながら言う。
セレーナ(何なの、この猫殺気がありえない、魔族よりも強い殺気。)
教室を見ると、皆レイスの殺気に当てられて冷や汗をダラダラ流していた。
アルス「...レイス。」
アルスはレイスを止めた。
レイス「ちっ、運が良かったな下衆が。主に感謝するんだぞ。」
アルスはレイス達を連れて教室を出た。
アルス達が出た途端何人もの生徒が床に座り込んだ。
セレーナ(彼は何もの?)
セレーナも冷や汗を流してその場に立ちすくんでいた。
アルスたちは屋上に来ていた。
アテナ「レイス、あんな所で殺気を飛ばしたらダメじゃない。」
レイス「む、すまん主よ。
どうしてもあの女を見ると、腹の虫が収まらなくて。」
レイスが申し訳なさそうに言った。
アルス「いいよ別に、でもこれからは気をつけてね。」
レイス「ありがたきお言葉。」
アテナ「まぁ、私もあの女には殺意が湧いたけど。」
アルス「アテナも落ち着いて。」
アテナ「わかっています。」
職員室
セレーナ「ブランク先生はいますか?」
ブランク「どうした。」
セレーナ「あのフードを被った少年は何者ですか!」
ブランク「あいつか、俺もあいつのことはよく知らないでもあいつは只者じゃ無いことは何となくわかる。」
ブランクが説明する。
いまだにアルスの名前が知らされてないのは奇跡である。
セレーナ「あの少年は何者なんでしょうか。」
セレーナが小さく呟いた。
アルスは下校時刻がくるまで屋上でレイス達と寝ていた。
アルスは寮に帰って寝た。
悪夢の始まりはここからだった。