続・聖なる日
それから、どれくらいの時間が経ったのか。
気がついたら、雪が降り始めていた。
人影が見えないと思ったら、すでに校門は閉められていた。
(そうか……終わったんだ)
私の心を安堵なのか落胆なのかも分からない不定形な感情が支配していく。
やるだけのことはやった。でも、彼には会えなかった。
私が求めていたのは、こんな結末だったのかも知れない。
鞄の中から折り畳み傘を取り出そうとして、入っていないことに気づく。
今日の天気予報は知っていたのに。今までこんなミスをしたことは無かったのに。
小さく溜息をつくと、私は彼が通っている学校に背を向けて歩き出した。
「お前、何やってんの?」
前方からの声に顔を上げる。
そこには傘を差した少年がいた。あの頃は私より少し背が低かったけれど、今では軽く追い抜いている。でも、その顔は想像していたより変わっていなかった。
「……篠原くんこそ、どうしたの?」
私は呼吸の仕方も分からなくなっていたけど、必死にクールを装って彼を見つめ返す。
「橋本からメールがあったんだよ。お前がウチの学校の前で突っ立ってるって」
「だからって、なんで篠原くんが来るの?」
「……お前が待っているのはたぶん俺だって、橋本のメールに書いてあったんだよッ」
「えっ……」