続・聖なる日
「どっちがいいかは分からない。それを決められるのは本人だけだから。だけどさ、こんな こっ恥ずかしいコトができるのは学生時代だけだと思うんだ。大人になったって たぶん中身はたいして変わらないんだろうけど、周りの環境がそれを許さなくなっていくんじゃないかな」
「無理だよ……告白なんて絶対無理。それに、バレンタインデーには他の女の子が告白するって私は知っているんだよッ?!」
「それは関係ないよ。誰も傷つけたくないのなら恋なんて一生できない。だいたい、その女の子は慶子をすでに傷つけている」
少し厳しい表情で私を見据えていた彼女がクルリと表情を変えて微笑む。
「は〜いッ、これにて私のアドバイスは終了! 後はご自由にどうぞぉ」
「ありがとう、加納さん。すごく参考になった」
「いえいえ、またいつでもウェルカムだよ」
何も結論は出なかったけど、彼女に話せてずいぶんスッキリした。
夜も眠れるようになったし、授業も普通に受けられるようになったし、他人との会話も普通にこなせるようになった。
そして、2月14日。
風紀委員の仕事を終えた私は、最寄り駅の向こう側に位置する高校の校門の前にいた。
鞄の中に初めて作ったチョコを入れて。