続・聖なる日
高校生になって3人の男子に告白され、4人くらいの男子に好意を示された。こんなの中学時代には考えられなかった。
でも、恋愛に興味が持てない私は誰とも付き合わなかった。
それらの男子達は中学時代の彼と比べて客観的には勝っている部分の方が多かったと思う。でも、好意を拒絶して疎遠になっても あの時ほどモヤモヤした感情は無かった。
(もしかして、篠原くんは特別な存在だったのかな)
今さらそんなことを思っても、彼は別の高校へ進学して もはや顔を合わす機会すら無い。
もう、過去の思い出だ。
「慶子は今が人生のモテ期なんだよ。このチャンスにイイ男をしっかりゲットしといた方がイイよッ!」
恋愛関係の知識に長けている同級生の加納睦美が私にそう力説する。
「モテキ?」
「そう、モテ期。人生に3回来るヤツ。知ってんでしょ?」
「知らない」
私がそう答えると、彼女はアメリカンジェスチャーみたいに大げさに首を振って溜息をついた。どうやら、これは誰でも知っている常識らしい。
「その人間本来のポテンシャルを超えてモテまくる時期のことよ。異性を引きつけるフェロモンが出るの。慶子は素材がいいんだから、モテ期になれば王子様クラスだって狙えるんだよッ!」
「ああ、そう……」
彼女の言う「モテ期説」の根拠が全く分からないし、自分の素材が良いとも思わないけど、婚期を逃しそうな娘を諭す母親のように心配してくれる彼女には「頑張ってみる」と答えた。