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ばーさーかー・ぷりんせす!第4話

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3.

「な、なんですの? この野蛮人」
あからさまに不審な男にフロリーナはマリアに聞いた。無論かけだし魔女には答え
ることなどできない。
「あ、あ…、神様のお告げが~~」
ルーシーがトランス状態になり、優雅に微笑む。シスターである彼女は時に神の
声を聞き、予言めいたことを口にするのだ。
「…異界より現れし少年、猛き心と魔に敵う力を持つ者なり。その使命は……」
彼女の信託はそこで途切れた。ギャリソンが思考をめぐらせる。
「ふむ、得体はしれませんが…その体躯と身のこなし、何か拳法をされているの
ですかな?」
「じい、こんな怪しげな輩に助けてもらいたくはありませんわッ」
「なんだぁ? このケツとデコと態度ばっかデカイ女は?」
ギロリとにらみ、逆に足代と名乗った男が問いただす。
「な! なんですって! あ、あああなたそこに直りなさい。斧の錆にしてさしあ
げますわっ!!」

 気絶しているラッキーを除き、みなドン引きである。質素とはいえ貴族の容姿振
る舞いをする者にタメぐちをきく異邦人。皆がバーバリアン(野蛮人)という言葉を
頭に浮かべていた。

その時、

「あ”ぁーーーーー!」

聖水の効力がきれたか、ついに先頭のゾンビが円陣に入って来た。フロリーナは短
剣を抜く。だが対角線上の位置のマリアが狙われた。
「いやーん! ゾンビきらーい!」
「! マリア!」

ぶ…ん…ドシャ!

襲いかかったゾンビの上半身は見事に吹っ飛び、リングアウトとなった。
「ふぇ?」
足代の上段回し蹴りがマリアの頭上をかすめゾンビに炸裂したのだ。
「びーっ、怖かったよーう」
「なんでぇ、こいつらモノホンの化け物か。『実体のあるバケモン』は初めてだ
な。ま・いいか、行くぞぉ、チェースト!」

どかばきぐしゃ。手当たり次第ゾンビを粉砕する野蛮人。しかも徒手空拳である。
さすがの姫も呆然とその様子を眺めていた。ギャリソンが声をかける。
「ささ、今のうちに町まで参りましょう。少し砕かれても奴らはダメージを感じ
ません。死体ですからな。やがて復活します。月が濃くなれば力を増してくるで
しょう」
「え、ええ。そこの、野蛮…あなた、西方に町があります。そこまでの護衛を命
じますわ」
「なーに言ってんだいデコねえちゃん。ものの頼み方を知らねえなあ」

まるで身分や礼儀を気にしない。器用に返事をしながら敵を倒す足代。しかし頭部
の粉砕が適った相手しか倒せないことを知るや、これまた器用にラッキーとセバス
ちゃん(魔鎧)入りの巨大バッグを担ぎ、全速力で西へ走りだした。

「に、二度までも愚弄を。許しません、許しませんわ! きーっ!!」

三白眼になった姫も皆も後を追う。悔し紛れに目の前の布を噛みしめる。

「姫さま~下着が丸見えですう~~」

…スカートの裾だった。

 狂戦姫と異邦人、最悪の出会いであった。


(BGM:Thriller)