看護師の不思議な体験談 其の弐
カンファレンス室には、ナースステーションとつながる扉の一部がすりガラスになっている。そのすりガラスから誰かがのぞいているのが分かった。目で確認したわけではないので、正確には「感じた」。
すりガラスだから、覗く事もできないし、覗こうとするスタッフもいるわけない。でも、明らかに誰かが私を見てる視線を感じた。貫くような、痛い視線。
(あ、やばいかも…)
徐々に恐怖を感じ始めた。
金縛りはさらに強くなる。
(痛い、痛い…!!)
意識はしっかりしているものの、体はびくともしない。
(なんかいつもより痛いんだけど)
しかも、いつもは痛いだけなのに、今回は痛い上に体全体が重い。
簡易ベッドがギシッと沈むのを感じた。
(やば、誰かいるわ…)
体にのしかかる重み。さすがにゾッとし始める。
(ホントごめんなさい!勘弁して!痛い痛い!)
とにかく早くこの恐怖が終わるように祈った。
もちろん目を開ける勇気なんてなかった。だって、その誰かと目が合ったらどうすんの。ビビリまくりの私。
作品名:看護師の不思議な体験談 其の弐 作家名:柊 恵二