看護師の不思議な体験談 其の弐
看護師の不思議な体験談 其の弐
ある夜勤にて。
仮眠する時は、カンファレンス室に簡易ベッドを使って横になる。ぐっすり寝るのは難しいのだが、それでも、体を横にするだけで大分違う。
ただ、そのカンファレンス室ではしょっちゅう『パキン、パキン』といった、小枝を割るような音が聞こえる。音がするだけで、これといった実害はないのだけれど。
たまに、金縛りはある。初めて、病院で金縛りにあった時は死ぬほど怖かった。けれど、回数をこなしてくると、だいぶ慣れてきた。
疲れてるだけかなとも思ったりし、ちょっと余裕も出てきた頃。
『パキン、パキン』
(ああ、また聞こえてきた)
簡易ベッドに横になり、うつらうつらし始めた時だった。
足元からくる冷え込み。
突然の金縛り。
(久しぶりかも、金縛り)
怖いという思いもあったが、またか、という思いのほうが強かった。
普段なら、めっちゃビビッてたと思うんだけど、この時は勤務がハードで、このわずかな仮眠時間のほうが大事だった。
(お願い、今しか寝れないんだから、邪魔しないで!)
今思えばこの反抗的な思いがいけなかったんだろうか。
作品名:看護師の不思議な体験談 其の弐 作家名:柊 恵二