分岐点 (後編)
どこで歯車がずれたのか。
雅也君もこの世に生まれて、たくさんの人に愛情を注がれていたはずなのに。
『いつだって僕のためじゃなくて、結局は自分のためだったでしょう?』
子どもは敏感だ。
何をきっかけに、雅也君の人生は狂っていったのだろうか。
どこで、何が、間違ったのか。
坂木さんも一生懸命雅也君を愛していた。ただそれだけなのに。
坂木さんの異常なまでの行動は忘れられない。
けれど…。
私と彼女にどんな違いがあるというのか。
お互い母親として、必死に我が子を守ろうとしていただけだ。
ただ、それだけだ。