分岐点 (後編)
杉川さんの姿が見えなくなったあと、あわてて自宅へ飛び込んだ。
夫から、竜輝君の行方について連絡網がまわっていることを聞いた。
嫌な汗が出る。
そっと2階へ上がる。そして『それ』を見つけた。まだ息はある『それ』を。
雅也は悪くない。
きっと何か事情があって、こんな結果になったのだ。
私が守らなければ。雅也と、雅也の未来を。
こんな事のために、雅也の人生を台無しにするわけにはいかない。
こんな事のために…。
私が、なんとかしてあげるわ。雅也の母親は私なんだもの。私はそう決心した。