分岐点 (後編)
それから、雅也の未来にとって脅威となる『それ』について、どう処理すべきか考えた。嫌悪感すら抱くその邪魔な存在。
すでに近所では捜索が始まっているし、もう今さら言い出せない。夫には…知らせるべきではない。あの人は嘘をつける人じゃない。私一人の戦いだ。
まずは荷物…。ジャンバーや通園カバンなどはとりあえず職場に持ち込み、トイレの天井裏に置いておいた。
『それ』には定期的に薬剤を投与した。時間をかせぐため、目を覚まさないよう、でも死なない程度に。みるみる衰弱していくのがよく分かった。
いつか捜索の手が落ち着いてきたら、機会を見て山の中にでも置いておけば大丈夫。まさか中学生の仕業とは思わないわ。
病院の外来で、あの人が雅也を問い詰めているのを見た時は、さすがの私も冷静ではいられなかった。雅也は何にも悪くないのに。悪いのはあなたの家の子のほうなのに!私の雅也にそんな汚い手で触らないでちょうだい!
私は咄嗟に劇薬棚を開いた。