分岐点 (後編)
ドン、ドン、ドン!
規則的なリズムで扉を叩く音。
扉一枚を隔てて、この向こう側には何があるのだろうか…。
目に見えない、得体の知れぬ恐怖に包まれる。
とにかく今は瑞樹を守らなければ。
そして、竜輝の手がかりをつかまなければ。
瑞樹がリビングへ移動したのを確認し、玄関の扉へ手を伸ばした。
ドン!
一段と大きな音。目に見えぬ苛立ちが伝わってくる。
思わず手が引っ込みそうになる。
チェーンロックはかけたまま扉をそっと開けた。チェーンが張り、一定の隙間が作られる。
握り拳が入るくらいの隙間。
中と外をつなげる隙間からは真っ暗闇しか見えない。
心拍数が上がる。
その隙間へ顔を近づけると…。