分岐点 (後編)
階段を上がりきり、最後の一段を踏んだところで、何かに足をぶつけた。
―痛っ…
ふらついて壁にぶつかり、飾っていた花瓶らしきものが倒れた。
ゴトン
―!!
音が響き、思わずしゃがみ込んだ。
手を口元に当て、ハッ、ハッと浅く息をする。どこまでも続く暗闇。
―大丈夫、大丈夫
そのまま床を這うように進んだ。
先に、かすかにオレンジ色の光が見えた。よく見ると、扉の隙間から頼りない灯りが一筋廊下につながっている。
灯りに誘われるように進んだ。
扉の手前でしゃがみこんだまま、パーカーのポケットに手を入れた。竜輝のミニカーが入ったままになっている。それをぎゅっと握る。
―大丈夫、大丈夫
―竜輝が待ってるんだから
しぼみかける勇気を竜輝からもらった。