分岐点 (中編)
重厚な扉。
―お願い、開いて…
ノブに手をかけゆっくりと扉を押す。
錆付いているのか、ギイッと嫌な音が響いた。
一歩廊下に出ると、まぶしさに目がくらむ。
先ほどの無機質な部屋とは打って変わって、突然穏やかな空気に目を見張る。
明るみのほうへ誘われるように、長い廊下をぺたぺたと歩く。
壁紙は薄いピンク色、クリスマスの装飾がなされている。
―このまま行けば、外に出られる。
そう思いながら、進むと見たことのある場所にたどり着いた。
昨日大声を荒げた廊下だ。
外来に続いている。
ぼんやりとした頭で、足を引きずりながら、歩く。
ふと足をとめた。
声が聞こえる。