小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

分岐点 (前編)

INDEX|7ページ/33ページ|

次のページ前のページ
 


横断歩道の前で自転車を停めた。
「ケーキ、今年もみんなで作ろうね。」
クリスマスのケーキは一家全員で手作りするのが恒例となっていた。
と言っても、市販のスポンジに生クリームを塗って、果物をのせるだけなのだけれど。
「千恵ちゃん、ケーキちゅくる!いちごがいっぱい、いっぱい、いっぱいのってるの!」
「そんなにたくさん、のるかなぁ…。」
振り返ると、竜輝は小さな手で望遠鏡を作って何か遠くを見ている。
「竜輝は?」
「今、海賊になりましたー。」
「海賊さーん。」
「はぁい。」
竜輝は望遠鏡で覗きながらこちらを見る。
「クリスマスはどんなケーキ食べたい?」
「ええっとねぇ…。」
竜輝が懸命に考え込んでいるうちに、信号が青へと変わった。
「かーちゃん、青よ~!!」
千恵が自転車を揺らす。
「出発進行~!」
いつもと変わらない、朝だった。

作品名:分岐点 (前編) 作家名:柊 恵二