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分岐点 (前編)

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少しの休憩の後、夜中と同じように啓一と交替で外へ出た。
家に居る間に啓一は、次々に電話をかけ、知り合いに事情を説明している。
こういう冷静で素早い作業は啓一でないとできない。
そんな啓一の後ろ姿を見ながら、重い体を気力で奮い立たせ、もう一度玄関を出た。
今何時なのかも分からない。
雲ひとつない、真っ青な空が広がる。太陽がまぶしい。
遠くで竜輝の苦手な犬の鳴き声。
今思えば、なんであんなに犬が怖いんだろう。
妹の千恵はこちらがハラハラするほど犬を追い回すのに。
登校中の学生たちの姿。
いつもと変わらない朝。
ただ、子どもたちがそばにいない…。

作品名:分岐点 (前編) 作家名:柊 恵二