自転車と淡い初恋
「雅司君っ」
しばらくこいでいると後ろから声をかけられた。
「あ?どうした?」
「お、重たいでしょ?ごめんね?」
「ははっ!あんたの体重くらいなんともねぇよ!」
泉はまだ怖いのか、俺にぴったりと背中に体をくっつけている。
「あんたこそ、大丈夫か?」
「うん、ちょっと怖いけど、楽しいよ!」
「落っこちないでくれよ?」
「あはっ、ちゃんとつかまってるから大丈夫だよ!」
俺の腰にまわした腕を、泉はわざとぎゅうっと締めつけてきた。
(お、おいっ…、そんな力入れんなって…)
俺は心臓がバクバクしてしまい、こけないように運転するのが精一杯だった。