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聖なる日

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 2月14日。
 サッカー部の連中も なんとなく朝練に身が入っていない。次期主将予定の俺としては模範を示してビシッとやりたいけど、根がデリケートなもんだから なかなか気合いが入らないんだなあ。
 そんなこんなで教室に戻ると、案の定チョコレートが乱れ飛んでいたよ。
 アホなイベントに踊らされている愚か者達。まあ、俺も橋本と西村と岡林に貰ったから他人のことは言えんけどさ。西村の10円チョコは義理にしてもショボ過ぎるぞ。別にどうでもいいけど。
 窓側の席に寺崎は座っている。
 バレンタインには全然関心が無いみたいに本を読んでいる。あいつらしいね。あの様子だと誰にもチョコを渡してはいないみたいだけど、安心は出来ない。もしかしたら、こっそり誰かの下駄箱にでも入れているかも知れないからな。
 俺の気も知らないで暢気に読書していた寺崎が不意に立ち上がった。
 そのまま俺の方へ来るじゃないか。この時ばかりは ちょっとばかし緊張したね。

「ちょっと、篠原くん」

 あいつが椅子に座っている俺を見下ろして言った。

「……何だよ」
「今日、委員会があるからね。忘れないでよ」

 そう、俺と寺崎はクラス委員だったのだ。
 寺崎が立候補したんで、仕方なく俺も付き合ってやってるんだ。あいつは頑固で無愛想だから、他の奴じゃダメなんだよ。
 そう言えば、今日は毎月やってる定例委員会の日だったな。バレンタイン問題ですっかり忘れちまってた。

「4時半からだからね。ちゃんと来てよ」
「そんなこと分かってるよ」
「……」

 そのまま寺崎は自分の席へと戻っていった。他に言うことがないのか、お前は。

作品名:聖なる日 作家名:大橋零人