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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編2

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 主人公の横顔。自分のことで手一杯。いつでも自分自分自分。過剰な自意識。自己本位で女々しい人物像。自分が人々に支えられていることに気がつかないままに物語は進み、そして、どうも最後まで他者に思いが向かないままに物語りは終結する。
 ――美少女は主人公を愛してくれましたとさ。めでたしめでたし……。
 「……作品だからまあそれでもいいけどさー」
 丸山花世は呟いた。作品はそれで終わる。けれど、人生はめでたしめでたしでは済まない。作品を作ることを生業にしている小娘には、やはり作品のアラが目立つ。
 ――私は……こういう作品は好かんなー。
 それは多分、丸山花世が女、だからだろう。
 「なんかさ……スカっとしねー、じめじめしたキャラクターなんだよなー。こいつが多分キンダーの社員のメンタルなんだろうなー」
 どうしてもっとすっきり男らしくできないのだろうか。
 「おにいちゃんか……。まあ、そういうの、好きな奴もいんのかね……」
 ヤクザ娘はプレステのコントローラーを投げ出して、それから下半身に何もつけていないアネキ分のほうに向かった。大井弘子は……こちらも渋い顔をして2ちゃんねるのスレッドを眺めている。
 「どうだった? ゲームのほうは?」
 「ああいうのがはやった時期もあったんだって、そんぐらいかな……」、
 丸山花世は思ったままを語った。 
 「作品は……人じゃんか。作っている奴のメンタリティーとか、精神年齢とか、それがまんまキャラの行動になるわけで……」
 丸山花世も表情は暗い。
 「書き手が幼い……のか。幼いふりをしてるのか。どっちか分からないけど。過保護に育ったお坊ちゃまみたいな作り手なんじゃないかな。人間としてフツー済ませとく経験をしてない、そういう書き手だと思うな。そういう人間を好きな奴もいるかもしれないけど、私は勘弁」
 「そう」
 大井弘子はノートパソコンを眺めたまま応じた。
 「書き手は読者……アネキ、よく言うじゃんか。書き手と同じ波長を持ってる読者だけがその作品を楽しめる」
 「そうね。そう思うわ」
 大井弘子は妹を見上げて言った。