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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編2

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 大井弘子の自宅。古い2DKの部屋にはエターナルラブのパッケージが散乱している。
 
 ?エターナルラブ
 ?エターナルラブ2
 ?エターナルラブ 閉ざされた想い
 ?エターナルラブ4 過ぎゆく夏 
 ?エターナルラブ5 マイメモリー

 それぞれ同じ製品が三つずつ。
 まったく同じものが三つずつ。
 「多すぎだよな……一つありゃ十分だっつーの」
 丸山花世はうなった。
 市原との打ち合わせを終えて、一足先に大井弘子の部屋に戻った小娘がまず行ったことは、昨日打ち合わせをしたブランセーバーから送られてきた配達物の再配送をお客様センターに頼むこと。
 ――資料を配送します。
 絶対に指令を伝えることを旨としたている三神が、
 ――今日中に。
 と言えば、それは必ず今日中に処理をするということなのだ。かくて小娘はポストの中に放り込まれていた宅配の不在者通知に電話をかけ、そして十九時ちょうどに三神智仁の荷物を受け取った。ちなみにというか、当たり前のことだが、送られてきたのは市原から受け取ったエターナルラブの廉価版ゲームとまったく同じもの。それも、
 ――姉妹でそれぞれひとつずつ。
 ということで、計十本!
 結果、大井弘子のマンション、和室はゲームとその他資料で埋め尽くされることになった。
 「アネキ……中古のゲーム屋やったら?」
 「そうね」
 イツキを閉めて戻ってきた大井弘子のほうはリビングでノートパソコンを開いている。ネットで何か検索しているようだが……。
 「どうでもいいけど、アネキ、パンツぐらいはいたほうがいいよ」
 上はタンクトップ。下は何も履かないという開放的な姿の姉に、妹は注意を喚起した。だが、その言葉はどうも大井弘子の耳にはあまり入ってない。妹のほうも半分諦めている。と。
 ――おにいちゃん!
 液晶テレビから突然、鼻にかかったような女性の声が飛び出してきた。画面に映し出された二次元美少女の横顔。
 ――おにいちゃん大好き!
 エターナルラブ。永遠の愛。初代無印エターの最終幕である。血のつながらない兄妹の感動の抱擁シーン……感激のラストシーンであるのだ。
 「……おにいちゃん、ねえ」
 生意気な小娘はちょっと表情が複雑である