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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編2

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 でも……会社は潰れたのだ。もうキンダーガーデンという会社は消滅している。それは、お客が、
 ――おまえにはもう付き合ってられない。
 とダメだしをしてきたからなのだ。
 あるいは、
 ――おまえのところの商品には、それだけの金を出す価値はもうない。
 そういう天の声があったからキンダーは存在ができなくなった。そのキンダーガーデンのスタッフを用いて、キンダーと同じやり方を踏襲する。それで本当にうまく行くのか。生き残れるのか。奇跡は何度も起こらないから奇跡なのではないのか。  
 「権利を売り飛ばすとか……なんかさ、作品に対して愛がないんだよね、市原って人。大事な何かが足りないんだよね。何かが。かといって、お金さえ儲ければいいっていうタイプでもないし」
 クリエイターでもない。商人でもない。ただ、社長ごっこをしたい人。
 「軽々しく使わないほうがいい言葉を簡単に使うし……やっぱ、会社潰す奴はあの程度なのかな……まあ精神病ならしょうがないか」
 「そうね」
 妹の呟きに姉は頷いた。けれど。姉は、仕事を下りようとは言わないのだ。
 「アネキ……この仕事、危ないよね」
 「そうね」
 「それでもやる? やる価値、ある?」
 コミットすればするほどにアラが見えてくる。これは……大井弘子が最初に危惧したように大変な仕事である。でも。
 「そうね。あるのでしょう」
 女主人は言った。
 「あるから私達は呼ばれた。そうでしょう?」
 「うーん……まあ、そうなんだけど……って、そうなのかなー」
 丸山花世は姉ほどは物語の神様を信奉していない。自分の能力についても運命についても口で言うほどには信頼していないのだ。
 「やれるだけのことをやってみましょう。きっと、物語の神様は私達に何かを見せてくれるはずだから」
 「何かって?」
 「それは……何かまだ分からないけれど、何か。とても重要な何か、よ」
 大井弘子は諭すように言い、妹分は応じる。
 「まあいいや。そういうことなら……見に行こう。その何かって奴を」
 そう。それがどんな結末であったとしても結末を見に行かなければならない。
 
 そして深夜半。
 丸山花世は液晶テレビを前にひどく疲れた顔をしている。