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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編2

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 「もう疲れ果てている作品。寿命が終わってしまったばーちゃんみたいな作品。でもさ、市原たちはそれにすがりついているんだよ」
 三万本は行きたい。三万本……遠い、本当に遠い数字である。
 「なんかさ、作品の魂、最後の最後までしゃぶりつくすみたいで……てめーら、エターナルラブ以外に作れねーのかよ」
 丸山花世の独白は苦い。
 「それともいろいろとやったけれどダメだったのか……で、結局、昔の名前で出ています状態なのか? だとしたらてめーらどんだけ才能ねーんだよ」
 大井弘子は黙って聞いている。
 「昨日の三神ってにーちゃんと話をしていたときはそんなことは感じなかったんだよね。三神っていう人は……なんとかして作品を生かそうっていうそういう意図があって、そうする価値があると思って動いている」
 ――私はゲームを作るのです。
 三神はそんなことを言っていた。
 ――自分よりも能力がある人が現れれば自分の席は譲らなければならない。
 とも言っていた。そのあたりに明確なポリシーがある。作品は何世代にも渡って受け継がれるもの。ある意味、不滅。エターナルであるのだ。そして人間の命は有限。どちらを優先させるか? 三神は前者を取っている。
 ――自分の命と作品であれば作品を取る!
 それは丸山花世にとってて共感できる潔さである。一方市原はそうではない。
 ――あいつ、俗物だよな。
 小娘は嫌気が差しているのだ。
 「三神のにーちゃんは、ドラマCDとかアニメとか、派生商品とか……そんな変なこと言ってなかったし。なんなのかな……時代錯誤なんだよね、市原って人は」
 丸山花世はぶつぶつと不平を吐き散らす。
 「景気も悪くて、みんなお金もなくて、ゲーム機でゲームする人もいなけりゃ、リリースされるタイトルも激減してて……その少ないお客から搾り取るようにしてお金を吸い上げる。ビジュアルファンブックとか、ドラマとかノベライズとか……お客からむしりとれるだけむしりとる。そんなの、オタクの連中、気の毒じゃんか。まるで結婚詐欺だよ。もう少し……少しでいいから、ファンに対する配慮だってあっていいんじゃないのかな?」
 「そうね……」
 丸山花世がそのように言えば市原は何というか、容易に想像できる。
 ――キンダーでずっとやってきたことですから。