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神社奇譚 1-2 古井戸

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 私は宮司の家に軽ワゴン車で乗り付けた。
「運んでいって欲しいんだよ」と云われたものは
例の根っこで。
樹液に覆われているのか
なんとも更に艶かしい色艶になっていた。

 宮司に云われたとおり納札所の裏のお焚き上げ場に持って行った。
宮司が言うには誰とはいわないが役員のひとりが
劣情に負けて自宅に持って帰ったそうだが、
持って帰ってもどうすることも出来ずに、宮司に相談したらしい。

 宮司は役員達に互いの顔を見てみるがよい!
といつになく強い語気で言った。
「皆、地に脚が付いておらず、浮ついて鼻の下が伸びきっておるぞ。」
宮司は何か気を感じたらしく、それが妖の類のものなのか
神の御姿としてのものなのかは判別は付かないが、之に近づく男達に
劣情を感じ焦るに十分なものを持っていることを認めた。

「環境ホルモンだかなんだかわからんが
へんな事件になる前に、アヤカシならば取り除き
神の御姿であれば灰に戻っていただくが一番。」
宮司はそういうと、役員達にグウの音も言わせず
御霊抜きの儀式をおこなった。
作品名:神社奇譚 1-2 古井戸 作家名:平岩隆