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CROSS 第11話 『奇妙な夜間行軍』

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 妖夢は骨折した左足をスキルカードを使って治療していた。ただ、
スキルカードから発せられる光は、強弱がとても激しかった。
「どうも、この世界の魔力は私には合わないみたいです。さっきも
 刀をうまく使えませんでしたし」
彼女は悔しそうな表情でそう言っていた。そして、しばらくすると、スキルカードの光が消えた。治療が終わったのだ。彼女は立ち上がることができるようになったが、すっかりくたびれていた。山口もくたびれていたが、彼女ほどではなかった。
「こんな夜更しは初めてか?」
「……いいえ。最近はしていないみたいですが、本国での宴会で、夜更しは何度か経験しています」
「もう少しで、ラトリアの塔だ。うちの軍の陣地があったみたいだから、そこで休めばいい」
「そうします」
彼女はそう言うと、ゆっくりと歩き出した。彼もピストルを構えて後に続く。