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CROSS 第11話 『奇妙な夜間行軍』

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 すると、前後から迫ってきた敵は皆、霊魂が浮かんでいるほうへ向かっていった。毒の沼に入ってしまっていることも気にせずに、宙に浮かぶ霊魂を捕まえようとしていた。そして、しばらくすると、沼の毒にやられた様子で、敵が次々と沼で倒れこんでいった。その光景を、山口はニヤリとしながら、妖夢は呆然と眺めていた……。
「なんで……」
「あの連中に限らず、この世界の敵は、ソウル、つまり、魂を手に入れたがっている。おまえの霊魂のようなものをな」
「…………」
「そろそろ、いいだろう。戻していいよ」
妖夢は霊魂を自分の近くに戻した。さっきまで霊魂が浮かんでいた位置には、代わりに敵の死体が浮かんでいた。もっとも、宙にではなく、毒の沼にだが……。

 そのとき、足音が響いてきた。前方を見てみると、今の敵のビックサイズの奴がこん棒を持って近づいてきていた。山口は舌打ちしてから妖夢に、
「もう一度、やってくれ」
「…………」
妖夢は黙ったままで、霊魂は彼女の近くを浮かんでいるだけだった。
『粗大』(こう名づけることにする)はどんどん近づいてくる。
「霊魂を毒の沼の上に浮かべてもらえますか? 庭師さん?」
山口は丁寧で棒読みな口調でそう頼んだ。
「嫌です。私は真剣勝負をしたいので」
妖夢はそれだけ言うと、近づいてくる粗大に向かって刀を構えて突っこんでいった。
「……やれやれ」
山口はあきらめた様子で、ピストルを構える。

 先に攻撃を加えることができたのは妖夢だった。素早い動きで、粗大を翻弄していた。しかし、粗大の身体は丈夫な様子で、妖夢に斬りつけられても、切傷ができるだけだった。次第に妖夢は疲れ、動きが鈍ってきた。それを粗大は見逃さなかったようで、こん棒で妖夢に一撃を加えた。左足にこん棒の一撃をくらった妖夢は、山口の元までぶっ飛ばされた。幸い、命に別状は無いようだが、一撃をくらった左足が骨折したようで、立ち上がれそうにはなかった。
 山口はというと、ピストルに魔力をこめていた。マガジンだけでなく、ピストル全体が光り始めていた。粗大はこん棒を振り回しながら、山口と妖夢に向かって突っこんできた。
 そして、粗大が3メートル近くまで接近したそのとき、山口はピストルを撃った。ピストルから水色に輝く魔弾が発射され、それは粗大が持っていたこん棒を粉々に粉砕した。粗大は立ち止まり、手元にだけ残ったこん棒をまじまじと見つめた。そして、こん棒の残片を放り捨て、今度は手で攻撃しようとしてきた。
 山口が今度は2発の魔弾を放った。魔弾は粗大の両腕を破裂させるように破壊した。感覚が狂っているのか、粗大は両腕を失ったことに気づくのが遅かった。両腕を失ったことに気づくと、呆然とした。
 そこで山口が、1発の魔弾を放った。その魔弾は、粗大の頭部をこっぱみじんに破壊した。頭部と両腕を失った粗大は、仰向けにドスンと倒れた。少し痙攣した後、ピクリとも動かなくなった。