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CROSS 第11話 『奇妙な夜間行軍』

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 山口と妖夢は、暗い沼地を歩き出した。あちこちに毒の沼があるため走ることができず、おまけに妖夢が特殊ゴーグルを装着しているにも関わらず、怖がって何度も立ち止まるため、ゆっくりとした行軍だった。妖夢のすぐ近くを漂っている霊魂は少しだけ光を放っており、山口はその光を頼りに、先導する妖夢についていっていた。
 妖夢の武器は二本の刀で、そのうちの一本の刀を構えていた。妖夢の二本の刀には、それぞれ名前がついていたが、山口にとってみてみれば、どちらも日本刀という考えしか持っていなかった。なぜなら、山口の武器はピストル一丁のみで、弾もたくさん持っているわけではなかったので、妖夢の武器に期待するしかなかった。
「なぁ、一本使ってないなら、貸してくれないか?」
山口は妖夢に向かってそう頼んだが、妖夢は振り返らずに、
「絶対嫌です。帝国連邦の人間に触られたらサビれます」
そうはっきり言った。山口は何か言い返そうとしていたが、何も言わなかった。

 そんな中、暗闇の向こうから、火がついた槍のような武器を持った奴が2体現れた。どちらも、長いこと風呂に入っていないような姿で、大阪の西成区民でさえ着ないようなひどい服装をしていた……。2体とも同時に、山口と妖夢に襲いかかってきた。
 山口はしっかり狙いを定めてから、そのうちの1体の頭部を撃ち抜いた。撃ち抜かれた敵はすぐ倒れこんだ。そのときには、もう1体の敵が、妖夢によって斬り倒されていた。彼女の刀の切れ味に彼は感心していた。
「伏せて!!!」
突然、妖夢が山口のほう向いてそう言った。山口はさっと伏せた。山口の頭のすぐ上を、妖夢の刀が横に通り過ぎていく。
 山口は驚きながら後ろを見た。そこには、今の2体の奴と同じような敵が、仰向けで倒れていた……。
「皮肉な音楽を聴きながら戦うのは無理みたいですね」
妖夢が山口にそう言った。山口は両耳からイヤホンを外して、ポケットにしまった。
「……前後を挟まれましたが戦えますか?」
妖夢が刀を構え直しながら静かにいった。
 山口と妖夢の前後には20体ぐらいずつ敵がおり、左右は毒の沼だった……。敵は息巻きながら、どんどん山口と妖夢の元に近づいてきた。
「なんで、こんなに敵が集まったんだ?」
山口は、自分と妖夢の身を見やった。そのとき、山口は大量の敵を呼び寄せた原因がわかった。
「その霊魂を毒の沼の上に浮かばせろ!」
「え?」
「いいから、やってみてくれ!」
山口の必死の声に、妖夢は半霊部分である霊魂を、毒の沼の近くに浮かべてみた。