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サイコシリアル【5】

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九紫戌亥は一族を潰すのをやめたらしい。九紫の必死の説得が決め手となったらしいが、どのように説得したかは戯贈は詳しく教えてくれなかった。言わなくても分かれってことだろう。
事件の全容としては、僕の仮定は大まかな所は合っていたらしい。
九紫一族を筆頭とする『永世中立』は、政府に管理されていた。九紫一族は、政府の駒として汚れ仕事を行う組織だったのだ。
必要悪。一言で言えばこれだ。何故、九紫一族が政府と手を組んでいたのかは定かではないが、長が亡き今はそれを知る術はない。
そして、九紫戌亥。
彼は、そんな一族を許せなかったらしい。
そして何よりもそれが妹逹の為というのだから、ある意味で微笑ましくもある。
九紫逹妹は、殺し屋一族に生まれながら『殺し』という行為をしてこなかったらしいのだ。『殺し』という行為を『殺す』側の人間だったらしい。
九紫戌亥は、そんな妹逹を解放してあげたいと昔から考えていたのだ。
それと今回の件が重なり、一族潰し、所謂クーデターに踏みきったらしいのだ。
そもそも、僕と戯贈が見た九紫の遺体は、賽ノ目さんとやらが作り出した偽物らしい。殺し屋が死んだ時は、警察に死因解剖やら何やらをさせないで、死を隠す、という殺し屋特有の盲点を突いたらしいのだ。
つまりは、僕を始めとする政府や他の殺し屋に『妹逹の死』を認識させ、死んだことにし、妹逹を解放させようとしたのだ。
妹逹を政府や一族、殺し屋の手の届かない所への解放。
とても現実的には考えられない手法だか、それをやってのけてしまうのが賽ノ目さんらしい。
別名、隠蔽屋。
通称、嘘遣い。
絶対に関わりたくもなさそうな称号だ。
何せ、この人には『真実』というものがないらしいのだから。
結局、九紫は賽ノ目さんに頼み込み戻ってきたらしいのだが。
と、言うのも一族最高の暗器遣いに嘘遣いは勝てなかったということらしいが。
それでも賽ノ目さんは、最後に『嘘』という抵抗を見せたらしいが。
その嘘と言うのが、つまりは九紫が遅くなってごめんなさいと言っていたことだ。
賽ノ目さんに嘘をつかれ、九紫は随分と僕たちの居場所を探し回ったらしい。
それにしても、グッドタイミング過ぎたのな、あの登場は。
ま、それは置いておいてと。
作品名:サイコシリアル【5】 作家名:たし