ちょっと怖い小咄 【二幕】
小咄其の拾七 『正義の味方・ロボ刑事編1』
「待てっ、バローの犯罪ロボット!」
『i』は高度な人工知能…AIを持ち、日夜犯罪を追うロボット刑事である。
「ゴー!」
ハンチング帽を投げ捨て、紫のジャンパーを脱ぎ捨てる。 鋼鉄のボディ、武器の
数々が胸部のシャッターを開けてせり出してくる。
「速射破壊銃ー!」
ドガガガ…ちゅど~~ん!
バローのロボットは粉砕、事件は解決した。
しかし、繊細な感情を持つ『i』は無骨な外観に悩んでいた。
(ああ、人間になれたら…。)
* * * * *
「待てっ、シクマ団の怪ロボット!」
凶悪犯罪激減の功績が認められ、ついに人間と同じ扱いに昇級した彼は、 褒賞に
人造皮膚を取り付けてもらえることとなった。人間そっくりになった『i』。しか
し犯罪はなくならない。 彼の活躍は今日も続く。
「待てっ、ピルゴルディ!」
悪のサイボーグを追う新まれ変わったロボット刑事。
「ゴー!」
武器を取り出すべく、帽子を投げ、トレンチコートを脱ぎ捨てる。
すると。
・・・『i』は猥褻物陳列罪で逮捕された。
・・・おしまい。
作品名:ちょっと怖い小咄 【二幕】 作家名:JIN