ちょっと怖い小咄 【二幕】
小咄其の拾六 『正義の味方・刑事編』
「出たな悪の組織マムー!」
正義感に燃える青年、烈条寺一(れつじょうじ はじめ)は宇宙刑事である。
「凝着!」
彼は衛星軌道にある宇宙母艦グランドエンタープライズギャラクシーから電送され
るコンバット・メタリックスーツを瞬間凝着し、宇宙刑事ギョボンになるのだ!
「ギョウっ、颯爽登場、宇宙刑事ギョボン! …ん? なんだか体がだるい…動悸
が激しいし、疲れやすいし。ぐわっ! 手足がしびれる! し、心臓が…ッ!」
おかしい、メタリックスーツを身にまとえば、最強の戦士になるはずなのに。
烈条寺は凝着したスーツを見た。不健康そうな肌色にぶよぶよした 表皮、特に腹
まわりは二倍はデロンと膨らんでいる。
「しまった、これは…メタボリックスーツだ」
・・・おしまい。
作品名:ちょっと怖い小咄 【二幕】 作家名:JIN