ちょっと怖い小咄 【二幕】
小咄其の拾伍 『正義の味方・副将軍編』
「介さん、格さん、懲らしめてやりなさい!」
「ははっ」
天下の副将軍、水戸の御老公と家来の介さん格さんは悪代官とその一味をボッコ
ボコにした。それを見届けたご老公。
「もういいでしょう。介さん、格さん」
「はっ」
「ははっ」
「懲らしめてやりなさい!」
「…は?」
「は、はァ」
さらに介さん格さんは完膚ないほどメッタメタに悪代官一味を叩き伏せた。
「はあ、はあ。御老公、このへんで…」
「そろそろ…」
「うむ。もういいでしょう」
御老公は満足そうな笑みを浮かべ、
「介さん、懲らしめてやりなさい。」
介さんに命じた。
「はは…はあぁあ? 私だけですか?」
仕方なくまたまた、それこそ首の皮一枚残しに、悪代官たちをギッタギタにする
介さん。こちらもたまったものではないが、悪者もマジ逝っちゃいそうである。
「ぜ~~~、ぜ~~~~~~。ご、御老公~~」
さすがに幸せそうにしている老人に二人は詰め寄る。御老公は…
「もういいでしょう。えー…あんた、誰だっけ?」
・・・おしまい。
作品名:ちょっと怖い小咄 【二幕】 作家名:JIN