ちょっと怖い小咄 【二幕】
小咄其の拾四 『正義の味方∞(インフィニティ)』
「私は銀河うるとら組長、ソフィーである。ちょっとちょっと。」
いきなり会社員、月形半平太の前に現れた光の巨人は頼まれもせんのに化石とな
ったギャグと自己紹介を始めた。
「年末ジャンボ、今年最後のヒーローになれるチャンスだぞ。君を地球を守る正義
の味方、『超うるとらスーパーマン∞』に任命する。平和を乱すものが現れた時、
君はいつでも私のよーな超人に変身できるのだ。んーお礼はいいからね。」
以前誘ったことも忘れてか、こちらの意見もへったくれもないまま、ソフィーは続
けた。
「さあ、変身だ! この変身セットを使って…」
「間に合ってます。」
しばし沈黙。
「へ?」
「インドの山奥で修行して帰ってきたら親父に改造されました。母親は前世が月世
界の人らしく、お爺ちゃんに何かのコントローラーもらっちゃったし…順番、けっ
こう後ですけど、いいですか?」
月形半平太は遂に変身することはなかった。
…おしまい。
作品名:ちょっと怖い小咄 【二幕】 作家名:JIN