ちょっと怖い小咄 【二幕】
小咄其の拾弐 『帰ってきた正義の味方』
「私が銀河うるとら組長、ソフィーなんだから。」
なんだからと言われても困るが、月形半平太の前に現れた光の巨人はなおも話し
続けた。
「こんだけ就職難なのに正義の味方になりたいってヤツはいないんだよね~。そこ
で選考基準を甘くした。おめでとう、今日から君は地球を守る正義の味方、『超う
るとらスーパーマン(仮契約)』に決定した。んーお礼はいいからね。」
相変わらずこちらの意見もへったくれもない。よほど敵が多いのだろう、自分の正
議論ばかりゴリ押ししてくるどこかの国の大統領のよーである。
「さあ、変身だ! すぐに50mの大巨人になれるぞ。あとはテキトーに」
「ああ、は、はい。」
まばゆい光に包まれると月形半平太はソフィーそっくりの姿なった。みるみる巨
大化する。10m、20m…。
そこで半平太は思い出した。自分が高所恐怖症だったことを。急激な視線の変化に
立ちくらみ、50mの大巨人は周りのビルを崩し、広場を荒らし、ソフィーを押し
つぶしてぶっ倒れた。
…おしまい。
作品名:ちょっと怖い小咄 【二幕】 作家名:JIN