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Minimum Bout Act.01

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 一般的な偽造IDはカード型のみで、横行しているものはこちらが主である。こちらは体内型と違うので調べればすぐに分かるため、ドルクバのように海外から密入国して来た連中が就職の為に求める事が多い。体内型のIDまでしっかりと調査する会社は案外少ないので、発覚には時間が掛かる。その間に彼らは仕事を見つけ、偽造がバレるまでの間に働けるだけ働いて稼ごうとするのだ。
 もちろん見つかれば強制送還となり、二度と偽造IDを使用した国に入国する事は出来なくなる。
 そしてカッツ達が口にする『組織』というのは、世界中で暗躍する、ID偽造、麻薬、銃器売買を主要に行なう団体の総称で、正式な組織名は『plain(プレイン)』と言う。
 かなりの武闘派で、街の一介のギャングなどでは太刀打ちが出来ないほどの力を持っている。一説では小さな国の国家予算並みの財力があり、警察でも迂闊には手を出せないらしい。
 たまにヘマをして下っ端が捕まる事があるが、そこから大元を辿ろうとしても、その金と力で必ず途中で煙に巻かれるのだ。


 「色々おかしい」
 急に狭苦しそうに体を小さくするカッツが言った。
「何がだ?」
 運転席からトレインが訪ねる。
「この窮屈な車もだが、そもそも本当にエレン・リードというガキが10年前に死んでるとするなら、俺達の所にやって来て人探しを依頼すると思うか?」
「バレなければ問題ないと思ったんじゃないのか?」
「シン。お前バカだな。俺達MBはIDを偽造してる連中を何人も警察に突き出してるんだぞ? それを知らないはずはない。それにトレインの知り合いの息子がID偽造の証拠を握って逃げたんなら、わざわざ俺達に依頼しなくても組織に直接消してもらえば済むだろうが」
 カッツの言う事はもっともだ。トレインもハンドルを切りながら口を挟む。
「俺もそう思うぜ。もしパストがそういう証拠を握ったんなら、まず警察官である自分のオヤジに教えるはずだ」
「じゃあ何でエレンという死んだはずの女が生きている? それに、もう一人のエレンはID偽造に関わっていて、殺されてるんだぞ?」
 納得いかないらしいシンが、自分の事をバカと言ったカッツを睨みながら言う。
「俺に言うな。分からないからこれから調べるんだろうが」
 カッツが口を尖らせると同時にインカムから呼び出し音が聞こえた。
「おう、どうした?」
作品名:Minimum Bout Act.01 作家名:迫タイラ