Minimum Bout Act.01
ノイアもドルクバから家族でカシズーへ旅行で向かう途中、事故に巻き込まれた。
ここからは警察とカッツ達が調べた結果を元に立てた推測だが、エレンの母親は結婚する以前から組織と何かしらの関係があり、エンド大気生成システムの功労者であるエレン・リードを仲間にする算段を立て、カシズーで何か事を起こす予定だったようだ。
しかし不慮の事故に遭い自分の命がもうもたないと分かると、自分の娘を救う方法を探った。が、娘も事故で死亡した。ノイアの家族もエレンの母親と同じく組織の末端の仕事をしていたらしく、死亡した父親と母親の体内からカプセルに詰められたドラッグが見つかっていた。もしかしたらエレンの母親とノイアの家族は知り合いだったのかも知れない。
その事もあり、エレンと契約を結びノイアを娘のエレンに仕立て、組織との関係を維持したと思われる。
それは、リード社が請け負っていた仕事の下請け業者がplainのダミー会社の一つと分かった事からも、エレンの母親は自分の旦那の会社を発展維持する為に組織と切れる訳にはいかなかったと推察できる。
当時12歳だったノイアは親の仕事も理解していただろうし、組織から逃げられないという事も十分分かっていたはずだから、エレン・リードとして生きる事に同意したと思われる。
何より家族を失い、自分も瀕死の重傷を負っている状態で助かるのなら、提示された条件を飲んでもおかしくない。
顔を大やけどしていた事と、エレンと血液型が同じだった事は都合が良かった。技術が発達した現代、輸血の必要無く高度な手術が簡単に受けられる。
そのため顔の整形手術を受け、エレンと同じ顔になることは雑作もない事だったし、何より危険が伴うとはいえ組織の仕事は金になる。ノイアはエレンとして生活をしながら、父親の前では娘を演じ、組織の仕事も末端とは言えしっかりとこなしていた。
子どもであったことも幸いし、警察に動きを察知されにくくしていたようだ。
一番の被害者は父親のガイオだろう。エレンが別人だった事を知った時のガイオのショックは凄まじかった。
結局妻と娘が組織と関わりがあった事から会社には警察の手が入り、ガイオは家族と信用を一度に失う結果となってしまった。
もし、ノイアがパストを盲目的に愛さなければ、この事実が明るみに出る事はなかっただろう。
作品名:Minimum Bout Act.01 作家名:迫タイラ