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しらとりごう
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novelistID. 21379
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ブローディア冬

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「じゃあもしもの話」
「ん?」

 ストーブをつけて部屋の中が暖まるまで、布団を顎の下までピッタリ着込んでじっとしていた。
 冬の朝の空気っていうのはなんでこんなに張り詰めてんだろう。それはもしかしたら、旅館みたいな木の天井に俺がただ緊張しているだけかもしれない。

 石間は窓の方を見て、つまりやっぱり俺から顔を背けて布団の中で丸まっていた。

 おはようと呟きあって。

「もしも」
「うん」

「ルイさんが木野のこと好きだったらどうする」
「え?」

 ルイは俺のことを弟みたいに可愛がってくれてる。好き、だと思う。どうもしない。

「多分石間のことだって好きになってくれたよ」
「そりゃどーも……」

 石間はあくびをして俺の方にゴロンと転がった。
 急に至近距離に現れる。

「うわっ」
「木野」

「なに、石間」
「俺も木野のこと好きなんだよ」

「俺も石間が好きだ」
「うん」

 ぎゅっと指を繋ぐ。

 もうちょっと寝ようかなと思って目を閉じたら、石間がキスしてきた。ばあちゃんちにいるのに。二階からばあちゃんとルイが起きて来た音がするのに。

「ルイにヤキモチやいてるの?」
「違うけど」

「普通じゃなかったらこんな布団俺らに渡さないよ」
「いや、俺を試してんだ。ぜってー」


 寝乱れた金髪が鼻に当たった。ルイのブロンドよりも堅そうな石間の金髪。なんか、エッチくさいと思った。

「俺たち、初夜はなにもなかったね」
「ああ。…………っえ?」





「やっぱり俺は試されてる」

 石間が繋いだ手を離そうとするのをとめることも出来ず、俺はまた眠ってしまった。


作品名:ブローディア冬 作家名:しらとりごう