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しらとりごう
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novelistID. 21379
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ブローディア冬

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 宿題を終わらせて、スキーも何度か石間と練習しに行った。ホントはルイと3人で行く予定だったんだけど、捻挫してからは車の運転もままならない様子で。

「そろそろ帰ちゃうんだね」
「そうだなあ、また夏休みに来るよ」

「ウン、待てるヨ」
「あ、その前にゴールデンウイークかな」

「ハハハ、そんなに出歩いてたら、イシマが寂しがる」
「えっ……あ……そうかな」

 ルイはフッと笑って、そのベッドサイドにいる俺の頭に大きな手を伸ばした。

「んー」
「フフ、シンはネコみたい」

 ルイの手のひらが、髪の毛を掻き混ぜる。ゆっくりと撫ぜて、その手が頬へ滑り降りた。安心する、ルイの大きな手。

「ルイは、ゴールデンレトリバー」
「いいね。じゃあイシマはなに?」

「えー? なんかルイ、最近、石間石間って言うね」
「ソーかもね。アレだ、キタキツネ」

「るーるるるるー」
「るーるるるるー」

 ガチャッと扉が開いて、ルイの手が俺から離れた。ノックがなかったからびっくりして二人して扉を見る。

「木野、ちょっと郵便局つきあっ……」

「イシマだ」
「石間だ……」

 笑い出した俺たちを見て、理由を知らない石間はぶつくさ言いながら出て行った。玄関で待ってるって。

「ホントに来ちゃった、石間」
「タイミング良すぎだね。ホラはやく追わなきゃ」

 うん。そう言ってルイを振り返って布団を直していると、「仲良くね」そう言う優しい表情を見つけてしまって、なんだか恥ずかしくなってしまった。

 はやく石間を追わなくっちゃいけない。

作品名:ブローディア冬 作家名:しらとりごう