閉じられた世界の片隅から(3)
じーちゃんは計り知れない後悔を抱えて、フィズは自分はいらない子なのだという悲しみを抱えて、僕一人がただ、過去の嫌なことをみんなのおかげで綺麗に忘れて、何も知らずに笑っていたあの頃。じーちゃんに、ばーちゃんに、フィズに守られて、幸せかどうかなんて考える必要がないほどに。
僕はいつか誰かに、それを与えてあげられるのかな。幸せかどうかなんて考える必要がないような幸せな日々を。
半分夢に落ちていきながら、そんなことを、ふと思った。
作品名:閉じられた世界の片隅から(3) 作家名:なつきすい