神社寄譚 1-1 藁人形
宮司は冷静に話を聞いていたが
私は余りに壮絶な話に、驚愕するばかりだった。
何の因果かはわからない。
実際に因果があったのか、すら、わからない。
宮司は件の藁人形を神社で手厚く御祓いし
御炊き上げすることを話した。
「いったい、どうすれば・・・」
なにか藁をも縋るような上島さんに宮司は言った。
「これからは毎月一日と十五日に忘れずに御祭して下さい。
狐様だから・・油揚げは忘れずにね。
そうすれば狐様も、家も御家業も御守りくださるはずです。」と。
その藁人形について、いまさら誰が何の為に置いたのか。
いまさら誰も知る由も無い。
作品名:神社寄譚 1-1 藁人形 作家名:平岩隆