サイコシリアル[4]
「殺す理由があったからだよ。奴らは、政府側の人間で、俺の企みを知ってしまった。それだけのことだ」
「だったら、次は僕がお前の企みを潰す」
「言うじゃねーか、涙雫。心ではどう思っていようと、口先だけで強がるっての大したことだぜ。普通だったら、びびって終わりだよ」
「生憎、僕は普通じゃないんだよ。異端の中で揉まれ育ったからな。そんな僕も異端ってことだよ。異なった端の者さ」
「くくく、殺し屋になったなら更なる異端者だな。いや、異常者か。更に掘り下げるのであれば、捨て駒、と言った所か」
「殺し屋が、捨て駒・・・・・・?」
「何を不思議がってんだよ、涙雫。答えは既に頭ん中にあるじゃねーか。いいか、一つ言っておくぞ、涙雫。俺は殺し屋が嫌いだ。鳥肌が立つくらいにな。それに属するものも全て鬱陶しい。消えりゃいい。なくなりゃいい」
「お前も殺し屋だろうが」
「正確には、元殺し屋、だ。今はただの殺人者。殺しの遣い人だよ。あー、お前に付き合ってんのも飽き飽きしてきたぜ。何も分かっちゃいないガキに付き合ってんのはよ」
「だったら・・・・・・お前は何を知っているんだよ」
「全てさ。全て。一族の事も組織の事も全て知ってんだよ。それを踏まえたうえで俺は組織を、一族を潰すって言ったんだらからな」
そこで九紫戌亥は、今までの表情と一転。真顔というよりも表情自体を消した。
「いいか、最後にもう一度言っておく。俺の邪魔をしたら殺す。俺に近付こうとしたら殺す。例えそれが、誰であってもだ」
そう言って、九紫戌亥は病室の窓から消えて行った。
僕と、霞ヶ窪の残虐死体を取り残して消えた。
僕も、この場に残っても仕方ないと結論付け、この一連の出来事を報告しようと、帰ることにした。
仮定が確定へと変わり、新たな問題も生じて来たこともある。
戯贈は何を思うだろう。
九紫は悲しむのだろうか。
僕は、霞ヶ窪の残虐死体を取り残し帰路へとついた。
ひとまずは、九紫の家に寄り、そのまま自宅へ帰って・・・・・・と悠長なことを考えながら帰路についたのだ。
作品名:サイコシリアル[4] 作家名:たし