サイコシリアル[4]
「・・・・・・お前」
何で。
何で何で何で何で。
そんなに簡単に言えるんだ。
殺したってことを、そんなに簡単に認められるんだ。
九紫戌亥の話し方からして、嘘ではないのは分かる。
というよりも、この場合は嘘をつく理由が皆無だ。
僕に嘘をついて、どうこうなる状況ではない。ましてや、本当のことを言って煽る意味もない。
ただ単純に、九紫戌亥は本当の意味で楽しんでやがる。僕の反応を。今後の未来を楽しんでやがる。
何が・・・・・・サービスだ。
「おーおー。どうしたよ。そんな卑屈な顔しやがって。俺は、俺が犯人だって言ってあげてんだ。喜ぶ場面だろうが。戯贈の娘と枝苑と犯人探しなんていうお遊戯やってんだろ? 良かったじゃねーか。万事解決だよ。あー、枝苑の奴は俺探しか? 鬱陶しい。それとも、何故俺がお前らの近況を知っているか疑問なのか? だとしたら、そいつは教えられねーな。ま、単純に興味本意ってことで」
九紫戌亥は一向に笑みを絶やさない。
含み笑い等ではなく、愉快そうに笑っているのだ。
「卑屈な表情なんかじゃない。恨んでるんだよ。憎んで、蔑んで、嘲笑ってるんだよ。戯贈を悲しませ、九紫を哀しませた九紫戌亥、お前をな」
九紫戌亥は、僕の大事な人を傷つけた。傷つけてほしくない、傷つけてはいけない人を傷つけた。
長時間に及んで、長期間に渡って傷つけた。
確かに、僕からすれば九紫戌亥は絶対的恐怖で、抗うことの出来ない絶対王者に等しい。
九紫戌亥は、言っていた。邪魔をしたら、殺す、と。だったら、話は簡単じゃないか。殺されずに、殺しを殺し返せばいい。
「何故、戯贈の両親を殺した」
何故、殺す必要があった。
作品名:サイコシリアル[4] 作家名:たし