小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

サイコシリアル[4]

INDEX|25ページ/41ページ|

次のページ前のページ
 

 「でも、涙雫君。それだと、今日枝苑が言ってたことと食い違いが生じるわよ。枝苑は『何故殺したのかは分からない』と言っていたのだから」
 確かにそうだ。そうだけど、人間の心理においてそれにも仮定を立てることが出来る。
 「九紫は嘘をついていたんだろう。だから、あんなにも悲しい表情をしていたんだ。悲痛で悲壮で悲観的な表情を。九紫戌亥がやろうとしている真実、組織を取り巻く事実、そして僕たちに偽りを述べている罪悪感。全てを知った上で九紫は、全てを背負い込み模索していたんじゃないのかな。僕たちを一族の問題に巻き込みたくなかったとか、いくらでも説明がつくよ」
 そう、いくらでも説明がつく。今回の事象も例外ではないけど、僕が今、戯贈に話した仮定が一番もっともらしく。『裏切り』という面で思考すると、一番納得がいく仮定なだけだ。
 「だからさ、戯贈。僕たちが止めなきゃいけないと思うんだ。殺さなきゃいけないんだよ、この連鎖的殺人を。正義のヒーローでも正義の味方でも物語の主人公でもなく、ただ九紫の願いの為に」
 「わかっているわよ、そんなこと。悲劇は喜劇に成りえることはないのだけれど、戯劇くらいは終わらせなきゃいけないのだから」
 終わることがなくとも、殺せずとも、せめて止めなければならないのだ。

作品名:サイコシリアル[4] 作家名:たし