サイコシリアル[4]
考えてもみれば、思考でもしてみれば、分かっていたのかもしれない。いや、分かっていたけど信じたくなかったのかもしれない。
それすらも分からない。
パズルのピースは全て繋がり、埋まり、一個の完成体として姿を現していたのに、僕は目を背けたのかもしれない。
いや、パズルのピースが全て繋がった、というのは語弊がある。たった一つだけ、ピースが見つかってはいなかったのだ。しかし、そのピースは探せば見つかる物で、想像もすればどんなピースか分かるものだったのだ。
全てを方程式のようにイコール関係に結ばなくたっていい。xの答えが、yの答えが見つからなくたっていい。結局は、xという表示自体も仮定なのだから。
それは数学の世界であって、殺し屋の世界ではないのだから。
今まで僕の手中にあったxでもyでもない、大きなピースは、
・戯贈の両親殺しの犯人は九紫戌亥であること。
・戯贈の両親は政府側の人間だった。
・戯贈の両親は九紫戌亥の企みを知ってしまい殺された。
・九紫戌亥は一族、組織を潰そうとしている。
これだけの大きなピースがあって何故僕は気付けなかったのだろう。何故、xやyを当て嵌めて予想できなかったのだろう。パズルを埋めた気になって。九紫戌亥が犯人である、という確定事項を作り上げただけでパズルを完成させた気になっていた。
九紫戌亥の言っていた事を考えれば至極簡単なことで。
誰でも予想がつくことで。
駆け出すはずなのに。
作品名:サイコシリアル[4] 作家名:たし