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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編1

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 森田。スキンヘッドのおかしなライター。丸山花世は三十過ぎのいかついおっさんのことを覚えている。
 ――インコが……飼っていたインコが……死んだ……。ピィちゃん……。
 森田というシナリオライターはインコの名前を呼びながら焼酎のグラス片手に号泣していた。その様子を小娘も良く覚えている。
 「モリヤン経由か……」
 「で、森田さんからFMBっていう会社の社長の市原という人を紹介されたの」
 「FMB……」
 ブランセーバーにキンダーガーデン。で、16CC。最後はFMB。あまりにも会社が多くてそろそろ丸山花世は訳が分からなくなってきている。さらにはインコのモリヤンに市原。
 「えーと……それは……」
 あまりにもプレイヤーの数が多すぎる!
 「FMBはキンダーガーデンの子会社であり同時に下請け会社だったのね。キンダーガーデンの社員だった市原っていう人が別会社としてそちらを任されていた。で、FMBはキンダーガーデンの倒産の煽りを受けて連鎖倒産して、そこの社長で市原という人も16CCに合流した。16CCのゲーム部門を実際に取り締まっているのはこの市原という人……らしい」
 「らしいって……アネキ、そんないい加減なことで大丈夫なの?」
 「さて」
 大井弘子は笑った。
 「私は会社の内情までは分からないもの」
 「ま、そりゃそうだわな……」
 「とにかく、そういうことで、ブランセーバーのほうから権利を譲り受けた16CCが正式エターナルラブ6の製作を始めることになった。そして私たちが、そのシナリオを担当することになった……」
 「ふーむ……」
 なんとなく嫌な予感というものはある。
 作品に関わる人々があまりにも多すぎるというのはいいことなのか。船頭多くしてなんとかということにならないのか。丸山花世としては小さな不安を感じている。
 ――ま、アネキと一緒ならば大丈夫か……。
 物書きヤクザはのように自分を納得させた。能力的には大井弘子は抜群であり、さらに言えば運もいい。幸運な人間と行動することは生存するうえで重要なこと。
 「そういうことなら、まあ、やってみっか。どこまでできるか知らんけど……」
 小生意気な娘は頷いた。
 恐れて身動きをしないという選択もあるにはあるが、それでは何も得られない。