小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編1

INDEX|7ページ/30ページ|

次のページ前のページ
 

 ――俺たちが、俺たちこそが本当のキンダーガーデンなんだ!
 という名乗り……はいいが、そんな叫びに何の意味があるのか。
 「でも権利はブランって会社にに持ってかれたんでしょ?」
 「そうね。社長と一緒にブランに全て持っていかれてしまった」
 「ああ、でも、カーテンコールだっけ、作品はキンダーの残党が作っていたんだよね?」
 「そう」
 おかしなねじれである。
 社長プラス権利はブランという会社に。作品のデータと写真の多くは16CCに。そして多分だが、
 『俺たちが本当のキンダーなんだ!』
 とヒステリックに叫ぶ人々と、権利のホルダーであるブラン間には熱烈な友好関係があるとは考えにくい。
 「なんじゃそりゃ……」
 奇奇怪怪な話、である。あまりにもおかしな話であるからこそ耳をそばだてる。物書きヤクザは姉の顔をまじまじと見つめている。
 「ただ、いつまでもそうしているわけにはいかない。だから、手打ちがなされた」
 「……そりゃそうだよね」
 「キンダーの側がブランの側から権利を借りる。お互いに業務提携して、売り上げの何パーセントかをブランにライセンス費として払う。そういうことになったのね」
 「まあそれが一番穏当だよね」
 作品は作りかけ。出ないよりは出したほうがいい。実利はいつでも感情的なしこりに勝る。
 「ってか、なんで、キンダーの残党ってそんな波風立つようなことしたのかね」
 丸山花世は言った。
 「キンダーCCなんて名前……ブランセーバーって会社に対するあてつけみたいだよね。実際、権利はブランが持ってるわけで、裁判になったら負けんじゃないの?」
 「さて。自分たちがいなければ作品は出来ないという自負。というか、思いあがりなのかしら、ね。そのあたりのことは私も分からないの。向こうのスタッフにまだ会ったわけではないから」
 「ふーん」
 丸山花世は首をかしげる。
 「とにかく、キンダーCCとブランセーバーの行き違いはトップ同士の話し合いで手打ちになったの」
 「まあ、そうだよね。っていうか、そんなこじれるような問題でもねーと思うんだけど」
 社長と権利はブランに。現場スタッフとデータなどは16CCへ。普通であれば、冷却期間を置いて話あえば済むこと。
 
 ――俺たちこそが正統なキンダーガーデンなんだ!