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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編1

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 「私は……そうですね、大井さんの作品を読んで、ああ、もしかしたら、この人はWCAの人ではないかとすぐに思いました。雰囲気とか、書き筋とか……ですから、事務局に問い合わせました」
 姉妹はそろって黙っている。
 「丸山さんについては大井さんから紹介を貰ったあとに偶然後輩から似非プロデューサーを破滅させた話を聞いて、興味を抱いて同じように昨日ですか、WCAに問い合わせました。それで分かりました」
 「なんか……あ、あんた、マメな人だね……」
 丸山花世は珍しく怯んでいる。一方、三神は言った。
 「トップに大事なことはマメさです。相手の情報を知るだけではダメです。自分がどう思っているかをきちんと説明する。どんな方法でもいいから自分の考えを説明して、なおかつ相手に確実に理解させなければなりません。口頭で、それでダメならば文書で。絵でもいい。とにかく指示を出して、それを相手に絶対に理解させる。マメでない、怠惰な人間はトップには向いていません」
 三神は言い切った。
 そして小娘は思った。
 ――こいつはたいした食わせもんだぞ……。
 「大井さん。丸山さん」
 食わせものは呼びかける。
 「今回の仕事はただ作品をつくるというものではないのです。エターナルラブという作品の文字通り、生き死にに関わる難事です。大げさな言い方をすれば作品の未来をお二人に託す、そういうことなのです」
 姉妹は黙っている。
 「16CCでも使われるお二人をこちらでも使うのは、そういうことなのです。ほかの人には頼めない。それはWCAの会員であるお二人には分かっておられるはずです」
 作品には魂が宿り、神様がつく。
 それはアニミズムに通じるもの。
 「作品についている魂。息吹のようなもの。これは、実際にそれに関わって最前線で作品と切り結びをする作家でないと理解できないですし、捉えることが出来ない。もちろん、そこまでのレベルに達していないで意味も分からずにシナリオを書いているものも大勢います。そういうヤブ医者に任せるわけにはいかないのです」
 「分魂……ですか?」
 大井弘子は言い、三神智仁は本当に愉快そうに、かつ満足そうに微笑んだ。