むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編1
作品はただ幸せなだけではない。
エターナルラブの分家とも言うべき同人ソフト。それはいったいどういったものに仕上がるのか。
「では、早速ですが作品についての打ち合わせに入りましょう。こちらからの要望です。一つ目は、攻略できる女性キャラは五人。高校生を中心にしてください。二つ目。舞台は高校です。人物の相関関係、あるいは地名等はそちらで好きなように作ってください。三つ目。ストーリー的には『エターナルラブ』という作品が学生の恋愛を描くものですから、そのようなものであれば構いません。以上の三つの点をおさえていただければ、物語の流れについてはお二人の気に入ったようにやってください。私はお二人を知っています。ですから、思いのままにやってください。それが私のお願いです。ちなみにキャラ一人当たりのシナリオの分量は百五十キロから二百キロを目安に想定しています。分量については目安を越えていただいても構いません。納期については急いでおりませんが、一応本日から三ヶ月をめどにやってくださればありがたいです」
「……冬コミに間に合わせたいと?」
「ちょっと難しいかもれませんね。原画のスケジュールは押さえてあるのですが」
三神は言い、そこで、丸山花世が口をはさんだ。
「え? もう、原画の人見つけてきてるんだ……」
「はい」
三神は言い、大井弘子が特に意識をしないままに訊ねた。
「どういう方ですか? 原画の人は……」
「ともちかです」
「……」
「ともちかひびきです」
「え?」
大井弘子も面食らったようである。
「ともちかさんは……エターナルラブの製作から身を引かれたのではなかったのですか?」
「はい。下りましたが? それが何か?」
「だって……下りたのに?」
生意気な小娘もきょとんとしている。何かおかしくないか? 話のつながりが……。
「はい。けれど、タイニーのエターナルは別の仕事ですから。フリーのともちかを使ってはいけないという法律はないですし」
「……」
姉妹は思わず顔を見合わせた。
「だから使います。ともちかを。それに、もともとともちかはキンダーと喧嘩別れをしたわけではありませんから。向こうは向こうで忙しくなった。何か衝突があったわけではありません」
作品名:むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編1 作家名:黄支亮