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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編1

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 小娘は頭の中に人物関係を頭に刻んでいく。割合と忘れっぽいところもあるので、明日にはその記憶がどうなっているかは分からないが。
 「16CCの話は分かりました。それで、こちらのエターナルラブは……」
 大井弘子は尋ねた。状況は相当におかしなことになっている。だからこそ色白の美人の表情はとても険しい。
 そして、ここからが本題――。
 「少し話が回り道をしてしまいましたが、こちらでもエターを作ります。ただこちらはあくまで同人ブランドです」
 「……同人」
 丸山花世は呟いた。
 「はい。同人ブランドです。タイニー・エターナルとか、そういうものを作ろうと思います。名称は変更するかもしれませんが」
 姉妹は沈黙する。
 「お二人にはそのシナリオを頼みたいと思うのです」
 「……ひとつ質問をよろしいですか?」
 大井弘子は尋ねた。
 「どうぞ」
 「何故……エターナルラブを?」
 何も、16CCとバッティングするような企画を動かさなくても良いのではないか。大井弘子の言わんとすることはたぶんそういうこと。
 「この時期に16CCでも同じような企画があるわけですし」
 「そうですね。それは……」
 三神智仁はちょっと考えて言った。
 「私も本心では16CCの企画の先行きに不安を感じるからです」
 「……」
 「キンダーは自己破産をし、そして製作陣はすったもんだで16CCに合流した。セーバーともしっくりいきませんしね。そんななかで、とりあえず上は手打ちをした。全てはお金のためです。それが悪いとは言いません。利益を出さなければ会社は潰れます。ただ私は、商売人ですが、作り手の端くれでもあるのです」
 三神の表情は読めない。
 「エターという作品は、ご存知かも知れませんが、五作目の外伝である『カーテンコール』をなんとか世に出すことができました。一度は潰れてしまい、発売も白紙になってしまった作品です。その作品が世に出ることになった。これは、名前の通り、文字通りの『カーテンコール』なのです。一度、幕が下りた作品。ですが、エターナルラブという作品は、ファンの喝采に応じるために戻ってきたのです。ただ、ファンにもう一度会いたいがために。会ってお礼を言いたいがために」
 「……」