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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編1

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 「人間的にあわないということはあるのです。ですから私はこちらにやってきた。そして彼らは16CCに行った。それだけです。誰が悪いわけでもないでしょう」
 三神は何の感慨もない様子で言った。
 「ふーん……」
 丸山花世はうなり、アネキ分が訊ねる。
 「三神さんも、エターナルラブという作品は、これからも長く続くそのような作品にはなりえないと……そうお考えなわけですね? 大筋としては」
 頑張れば十万本。頑張れば……だが、十万本は恐ろしく遠い。
 「それは分かりません。物事はやってみないことには。ちなみに、前作は二万本がやっとでしたが」
 「……二万本って」
 それが多いのか少ないのか。丸山花世は首をかしげ、男は言った。
 「もろもろ費用を考えても、感心しない売れ行きだったということです」
 「……で、次は十万本?」
 それは無理。
 なぜならば……。
 「アネキ、六割の法則ってゲームにも当てはまるのかね……」
 丸山花世は言った。大井弘子は頷く。
 「そうね」
 六割の法則。続きものの作品は回を追うごとに売れ行きが落ちていく。それは大井弘子が口にする法則。あくまで小説の話であるが……十万部売れた作品の二作目は六万部。三作目は三万六千部、四作目はさらにその六割で二万一千部。アニメ化などのてこ入れがあれば部数は上向く。ゲームもおそらくは同じようなものであろう。だとすれば……。
 ――エターの六作は売れて一万二千本、か……。
 そういう縮小再生産を避けるために、メーカーはいろいろな手を打ってくる。グラフィックの強化、操作性の向上。シナリオのボリューム追加。そしてやがては開発資金の重さに耐え切れなくなってメーカーは瓦解していく。
 「状況が芳しいかと言われればそうではないです。16CCが使える予算が増えたわけではありませんし。16CCの資本金はキンダーの十分の一。一千万円しかありませんから」
 それはつまり同じ事をしていたら十分の一年で会社の資金がショートすると言うこと。
 「資本のことは置くとしてです……」
 三神は続ける。